ホテルから賃貸オフィスビルへ事業転換
長期的な安定収入を見据えた不動産戦略

株式会社ロンドホールディングス

株式会社ロンドホールディングス 様
https://www.rondo-group.co.jp/

健康と笑顔で地域社会に貢献する健康追求カンパニー。東京都東村山市を本拠地とし、フィットネスクラブやスイミングスクールといったウェルネス事業を中心に、リラクゼーション・鍼灸整骨事業やビル賃貸管理事業など、多角的に事業を展開している。1919年の創業以来、継承され続けている企業DNAは「人の役に立つ」「お客様を大切にする」「チャレンジする」で、合言葉は「ONE RONDO」。

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RONDO 日本橋ビルの1階エレベーターホール部分。賃貸オフィスビル前のホテルの雰囲気を残した品のある落ち着いた空間。

予期せぬ社会情勢や経営状況の変化により、事業の転換を余儀なくされる不動産オーナーは少なくありません。ウェルネス分野を中心に事業展開を行う株式会社ロンドホールディングス様も、その一社です。同社は、2017 年に開業したユニット型ホテル(コンパクトホテル)を2020 年に閉館し、翌年には賃貸オフィスビル事業をスタートさせました。その迅速な経営判断の舞台裏について伺いました。

目次

株式会社 ロンドホールディングス

取締役副社長

古屋 尚樹 氏

事業転換の成功ポイント

  • 既存の事業に固執しない、合理的かつスピーディな経営判断
  • 当社のCM(コンストラクション・マネジメント)により適切なリニューアル工事の企画・提案と工事入札によるコストの適正化を実現
  • マスターリース(空室保証型)による収益安定化で先行きの不安を払拭
  • 無利息でリニューアル工事費用を預託する「ビルプラス」により初期費用を低減

コロナ禍でホテルが営業休止に!
先を見据えた素早い経営判断が機会損失を防ぐ

複数路線の乗換駅である「馬喰横山」駅から徒歩1分と、利便性の高い立地にある「RONDO 日本橋ビル」。前身はユニット型ホテルでしたが、三菱地所リアルエステートサービス(以下、当社)をビジネスパートナーとして、2021年7月から賃貸オフィスビルに生まれ変わりました。当時の状況について、ロンドホールディングスの副社長である古屋尚樹氏はこう振り返ります。

「もともと問屋ビルでしたが、一棟貸しをしていた衣料卸売業者の退去が決まりました。ビルの有効活用を検討する過程で、賃料収入がゼロとなる一棟貸しの退去リスクを避けたかったのと、東京五輪開催や慢性的なホテル不足といった当時の潮流から、2017年2月にフランチャイズ方式でホテル事業へと舵を切りました。<br>ですが、コロナ禍で運営委託先が経営破綻。その結果、ホテルが営業休止になってしまったのです。しばらくは事業再開に向けて活動を続けていましたが、コロナ禍の収束が見えず、2020年の初秋にホテル事業から撤退しました。<br>もっとも創業ゆかりの地に建つビルの売却は考えられなかったので、いかにビルの資産価値を高めて企業価値に繋げられるか。不動産の保有が重荷となって、新たな事業展開に取り組めなくなることは避けたいと思っていました。」

ロンドホールディングス様の社内において、ビルの不動産事業が経営課題として高く認識されていく中で、当社では、ホテル事業から賃貸オフィス事業への転換を提案しました。

ユニット型ホテルの外観(左)と、賃貸オフィスビルの外観(右)。サイン看板を無くし、一部塗装して温かみを感じるビルに。
モダンなホテル空間(左)から、使い勝手の良い広々としたワンフロアのオフィス空間(右)に仕様変更し、テナントスペースは関連法規を調整しながら大きな賃貸スペースを確保。

収入の安定化を実現
物件の特性を最大限に活かしたオーダーメイド型の提案

ホテルからオフィスへの用途変更は、その構造や設備の違いから一般的には容易ではありません。ただ、ユニット型ホテルになる前は店舗・事務所として使われていたため、RONDO 日本橋ビルの建物としての構造はオフィス仕様。当社の目には、高いポテンシャルを秘めた賃貸オフィス物件に映りました。当社からオフィス事業の打診を受けた時の気持ちを、古屋氏はこう明かします。

「賃料収入の不安定さと多額の追加投資、これが私どもの大きなネックとなっていました。今回、シェアオフィスやコワーキングを得意とする不動産業者にも相談しましたが、他社の提案と比べ、三菱地所リアルさんの提案は安心して任せられる内容でした。過酷な現状をきっと打開できると期待できたので、ビジネスパートナーとして組むことを決断したのです。」

そこで当社は、不安定な賃料収入というオーナー様が抱える不安解消のため、入居率にかかわらず毎月一定の収入を担保する空室保証型のマスターリースを提案。マスターリースとは、当社が一括賃借してテナントへ転貸する、オーナーにとってリスクの小さい運用方式です。打ち合わせを重ねる中で、想定される様々なキャッシュフローを提示し、収支イメージのシミュレーションを繰り返しました。

さらに、物件の資産価値の最大化を叶えるため、ロンドホールディングス様の希望や悩みを丁寧に汲み取りながら、類似物件、近隣物件の情報提供はもちろん、客観的なマーケットデータをもとにした賃貸オフィス事業の将来性も説明。ロンドホールディングス様のもとに何度も足を運び、関係性を深めていきました。一連のやり取りに関して、古屋氏は次のように語ります。

「お互いに意見やアイデアを出し合うことができ、賃貸オフィスビルとして新しいスタートを切ることができました。やはり、空室保証型マスターリースの提案が大きかったですね。このスキームによりホテル事業継続の不安が払拭されました。10年後には空室保証型の契約が満期を迎えますが、フロア貸しなら一部空室が生じても全体として継続的に売り上げを計上できると思っています。」

CMとPMの機能をフル活用
実績に裏打ちされた企画・提案とコスト管理

工事費の圧縮も本プロジェクト成功の可否に関わる重要な要素です。そこで当社は、中立性と専門性を持ってプロジェクトのマネジメントを代行するCM(コンストラクション・マネジメント)という立場で設計・施工の分離方式を提案。まずは、設計会社を手配します。
設計過程では、不動産の資産管理を行うPM(プロパティ・マネジメント)機能も合わせて活用し、周辺の類似物件との差別化を図りながら、ホテル時の内装や機能を活かしつつも汎用性の高いオフィスレイアウト案を提示しました。当社の提案が受け入れられ、基準階では、ホテル改装時に設置した衛生陶器が再利用されていますし、トイレやパントリースペースも充実しています。また、1階エレベーターホールはホテルラウンジのシックな雰囲気をそのまま残しています。
施工会社の選定に関しては、当社主導で入札を実施。競合3社のコンペによって、コストの透明性と合理性が図られ、ビジネスパートナーとしての信頼が深まりました。さらに、工事費の一部をリニューアル工事預託金として当社が立て替えて負担。毎月の送金賃料と相殺し、契約期間内にて無利息で均等償還する「ビルプラス」を活用することでロンドホールディングス様の初期費用負担を最小限に抑えることができました。

このようにリニューアル工事におけるCMとリーシング及び運営管理を担うPMという2つの機能で、賃貸オフィス経営をサポート。約3カ月の工期を経て、2021年7月より賃貸オフィスビル「RONDO日本橋ビル」として再始動しました。古屋氏は、不動産パートナーとして当社を次のように語ります。

「蓄積された知識や経験、近隣事例や類似物件の情報など、専門家が持つ独自のリソースを味方にできたことは、非常に心強かったですね。すでに全フロアが埋まっていますし、嬉しいことにビルプラスで初期費用を最小限に抑えることもできました。ビジネスパートナーとして良好な関係を築けたと思っています。」

1階の床や壁を木目調にすることで意匠性を高めている。

長期安定の不動産戦略には
未来を見据えた多角的なアプローチが欠かせない

様々な制約が生じる不動産運営は、事業転換が難しいビジネスです。だからこそ、長期的に安定した収入を得られる賢い仕組みづくりが求められます。その実現には、入居者の普遍的なニーズ、市場のトレンドや将来性など、多面的な検証が欠かせません。オーナー様に代わって、この役割を果たすのが、不動産コンサルティング会社のあるべき姿です。古屋氏からこのようなコメントを頂きました。

「創業ゆかりの地に建つビルであったことから、保有するという選択肢の中で、自社のアイデンティティを守りつつ、時代に適した価値ある不動産に変えていく。三菱地所リアルさんとの協働を通して、伝統と変化の共存も、不動産運営の在り方の一つだと、新たに気づかされました。」

「新型コロナウィルスの感染拡大という不測の事態によって、ホテルから賃貸オフィスビルへと急遽、事業転換を図ることになりました。ビジネスは生ものとはいえ、賃料収入の不安定さと多額の追加投資を解消できたのは、非常に大きかった。」と語る古屋氏からは笑みがこぼれた。

RONDO日本橋ビル

所在地:
東京都中央区日本橋横山町6丁目16
規模:
地上8階/地下1階
構造:
鉄骨鉄筋コンクリート
延床面積:
2,309.53㎡(約698.63坪)
竣工:
1991年6月(2021年7月リニューアル工事完了)
交通:
東京都営新宿線「馬喰横山」駅 徒歩1分
総武本線「馬喰町」駅 徒歩2分
都営浅草線「東日本橋」駅 徒歩3分
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※本事例の内容は公開当時のものです。

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